【キックの鬼】沢村忠さんを追悼して

沢村忠さんを追悼して

3月26日、日本キックボクシング草創期に活躍し、後のKー1などの立ち格闘技の道を拓いた沢村忠さんがお亡くなりになりました。

沢村忠さんは、232勝228KO5敗4分けという生涯成績をお持ちののキックボクサーでした。

彼の必殺技である「真空飛び膝蹴り」は沢村忠の名前を知らなくとも、1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

彼の活躍ぶりは他業界にも影響を及ぼしており、「巨人の星」や「タイガーマスク」などの漫画原作者として知られる梶原一騎さんは、彼を主人公に捉えた作品である「キックの鬼」という漫画を作り上げ、後にアニメ化もされています。

この作品名がそのまま、沢村忠さんの異名として世間に知れ渡るようになりました。

1966年。日本キックボクシング協会が発足すると同時に、キックボクシング界へと参戦しました。

デビュー戦の相手はなんとキックの本職、ムエタイ選手でした。

覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

最強のキックボクサーとまで謳われていたKー1も魔裟斗選手が、ムエタイのプアカーオ選手を相手に大苦戦、敗北まで喫していることを。

沢村忠

さんはデビュー戦でムエタイ選手とマッチメイクされてしまったのです。

ですが、彼はバックボーンにある空手で培った技術と身体能力を活かし、見事勝利を収めています。

1973年には同年に三冠王に輝いていた、後の国民英栄誉受賞者でもある王貞治さんを押さえ、日本プロスポーツ大賞を受賞しています。

様々な逸話を持ち、現在まで続く日本格闘技界の基礎を築いた沢村忠さん。

彼がいなければ、武尊選手や那須川天心といった、世界に名だたる名プレイヤーも生まれてなかったかもしれません。

1人の格闘愛好家として、冥福をお祈りします。