ボクシングにおけるデンプシーロールの本物をご存知ですか?
超有名ボクシング漫画『はじめの一歩』に登場する主人公・幕之内一歩の必殺技として有名な『デンプシー・ロール』。
皆さんも一度は真似したことがあるのではないでしょうか?
さて、『デンプシー・ロール』ですが、作中でも語られている通り、実在のプロボクサーが使っていた技として本物が存在します。
知らない人のために説明しておくと、頭が「∞」の字を描くようにダッキング、ウェービングを繰り返し、その反動でパンチを打つという技です。
この技の脅威的なところは、ボディワークの勢いをパンチにそのまま乗せているところです。いわば助走をつけながらパンチを打っているような、強烈にして極悪な破壊力を秘めている技なのです。おまけにボディワークも込みなので、、攻防一体ときています。
作中でも屈指のハードパンチャー(めちゃくちゃパンチが強い人のこと)である主人公がこの技を使っており、直撃した相手は皆、悲惨な姿を晒しています。
例えば顎の骨を割られたり、眼底を骨折したりなど、想像しただけで背筋が凍りますよね。
『デンプシー・ロール』を実際に使っていた本物の人物というのは、20世紀前半に活躍したヘビー級プロボクサーの『ジャック・デンプシー』です。
最重量級であるヘビー級においてもジャックデンプシーの破壊力は群を抜いており、1919年にデンプシーが初めてタイトルを獲得した試合では、185㎝のデンプシーは200㎝ほどもある超大型選手を、いとも容易く3ラウンドTKOで破っています。
この時の相手選手は、デンプシーの苛烈な攻撃によって顎を7か所砕かれ、肋骨や頬骨、歯を数本折られたそうです。
最近のボクシングではそんなの聞いたことないですよね…。
そんな情け容赦無い過激すぎるボクシングのファイトスタイルと、人体を破壊し尽くさんばかりの豪腕っぷりから、彼は「マナッサの人殺し」という異名で呼ばれることになりました(彼の生まれであるコロラド州マナッサから来ている)。
「事実は小説よりも奇なり」と言います。
正直、『はじめの一歩』の描写の方がまだマシだ、と思うくらいに彼にまつわる逸話は暴力的です。
マンガよりえげつない、まさに本物です。
ちなみに作中では「ボクシング技術の発達した現在、デンプシーロールはカウンターをもらいやすいので誰も使わなくなった」といった言われ方をしていました。
ですが現代ボクシングでもインファイトの殴り合いや、相手を仕留めに一気に攻め込むときなどはデンプシーロールが使われていると言ってもいいと思います。
ウィービングを繰り返しながら左右のフックを打って相手を追い込んでいく場面って少なくないですよね。
また、はじめの一歩におけるデンプシーロールは本物とは全然違うという意見もあります。
あくまで漫画、ということですね。
本物のデンプシーロールの使い手であるジャックデンプシーはデンプシーロール以外にも様々な技術を開発しています。
そもそも前傾姿勢で体重を乗せたパンチを使い始めたのもデンプシーで、ステップワークも素晴らしかったと言われています。
デンプシーロールという名前が使われなくなってもジャックデンプシーの技術は確実に受け継がれています。
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