ボクシングの試合中継を観ていると一度は「カウンター」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか?
カウンターとは、簡単に言うと相手ボクサーがパンチを打とうとしたときあるいは打った直後にパンチを入れることです。
カウンターは非常に攻撃力があり「ボクシング衝撃KO集」などを調べると必ずものすごいカウンターでのKOが出てきます。
このカウンターパンチが得意なボクサーをカウンターパンチャーと呼びます。
ボクシングにおいてなぜカウンターがそんなに攻撃力があるかというと、まずひとつが相手も突っ込んできているため。
直立の状態ではなくパンチを打とうと突っ込む瞬間にパンチをもらうので、よりダメージがあります。
車で例えると単独で壁にぶつかる事故より、車同士で正面衝突したほうが大変な事故になるのと同じです。
もうひとつが、意識していないところからパンチが飛んでくるため。
カウンターをもらってしまう際は、自分自身もパンチを打とうとしているため相手からの攻撃に気付けません。
クリーンヒットした場合、気付いたら自分がリングに倒れていてなにが起こったか理解できない。といった状況になるほどです。
カウンターに限らずですが、意識外からのパンチが一番効きます!
くるのが分かっていればどんなに強いパンチでも耐えれたりするんですよね。いや、もちろん意識外からの場合と比べての話ですが…。
これら2つの要素が合わさってカウンターはすごい威力を発揮します。
力を抜いた軽いパンチでもタイミングを合わせればダウンを奪うことだってできます。
ボクシングにおいてカウンターは高等技術です。
もちろん練習すればいつでも狙って出来るようになる、というわけではありませんし逆にダメージを受けるリスクも高いですが決まれば絶大な威力を発揮しますよ!
攻撃力以外にもメリットが
ボクシングにおいてカウンターは攻撃力以外にもメリットがあります。
例えば序盤で相手の左ジャブに合わせてカウンターを繰り出したとしましょう。
仮にこのカウンターが有効打にならなかったとしても、相手の頭にはしっかりと残っています。
「さっきうまくカウンターを合わせられたしな…」「また狙ってくるかも…」と同じ左ジャブを出しにくくなるのです。
こうなれば相手の攻撃パターンをひとつ封じたようなものなので、かなり有利に試合を進めることができます。
相手の意識がそこへ集中するぶん他のパンチが当たりやすくなったりもします。
また、相手に攻め込まれているときにもカウンターは有効です。
相手のパンチラッシュが終わるまで防戦一方、となるとジャッジの印象はよくないですし、最悪の場合レフェリーに試合を止められてしまうかもしれません。
このタイミングで相手のパンチをかわしてカウンターを放てばもちろん大ダメージを与えることもできますし、しっかり相手の攻撃を防いで反撃したということでジャッジの印象も良くなります。
ボクシングはKO決着だけでなく判定決着もありますからね。
クロスカウンターとは?
ボクシングにおけるカウンターでいうと「クロスカウンター」というのもよく聞きますよね。
クロスカウンターは相手の左パンチに対して自分の右、あるいは相手の右パンチに対して自分の左で放つパンチのことです。
お互いの腕が交差するように見えることからクロスカウンターと呼ばれます。
クロスカウンターはなにより決まるとかっこいい!
絵的にも映えるのでボクシング漫画などでもよく使われますね。
いや~写真見ただけでもかっこいいです。
カウンターの種類
ボクシングにおけるカウンターは大きく3つに分けられます。
1.相手がパンチを打とうとした瞬間に合わせるカウンター
相手が動こうとした瞬間にそれよりも速く自分が攻撃するカウンターです。
このカウンターを決めるには相手のクセなどを見抜く洞察力も必要になってきますね。
肩がピクッとしたとか、そんな感じの「パンチを打ってきそう」ぐらいのタイミングでパンチを打たないと間に合いません。
2.相手のパンチの打ち終わりに打つカウンター
相手のパンチを避けるあるいはガードして打ち返すカウンターです。
特に避けてカウンターを打つのが有効で、相手はガードができない無防備な状態です。
相手の左ジャブを右にかわして右ストレートを返したり、相手の右ストレートを左にかわして左ボディを返したりなど。
ボクシング世界チャンピオンの井上尚弥選手はこのカウンターが得意な印象がありますね。
相手のパンチをはじいて反撃に繋げるパーリングなども有効です。
ガードをしてから打ち返す場合は相手もすでに手をガードポジションに戻っていることも多いのでその場合は大きなダメージは期待できないかもしれません。
ですが相手に打たせたままで終わらないという意味では試合を運ぶうえで非常に重要です。
3.相手のパンチと同時に打つカウンター
上記のクロスカウンターもこれに該当します。
決まればデカイ分リスクも高く、お互いが被弾あるいは逆に自分が倒されてしまう場合もあります。
両選手が同時にダウンするいわゆるダブルノックダウンという珍しいシーンもありえます。
いくつかダブルノックダウンの映像を観ると、厳密にはどちらか一方のパンチが早く当たっているのでダメージに差が出ていますね。
スロー映像で観るとそれがよくわかります。
ダブルノックダウンの場合はお互いが同時に左フックを放った場面が多かったですね。
「ボクシング ダブルノックダウン」で検索すると映像も出てきますよ。
カウンターの向き不向き
ボクサーがみんな自分の特徴に合わせてスタイルを変えていくように、カウンターにも向き不向きがあります。
カウンターは自分から攻撃するのではなく相手の動きに合わせて使います。
そのため試合をしながら相手のクセや特徴を見抜く観察力、相手の動きを見極める動体視力、そして相手よりも速く動く瞬発力が必要になります。
カウンターは失敗すると相手のパンチをもらってしまうハイリスクハイリターンな戦術です。
その覚悟を持った上で相手のパンチに飛び込む根性・度胸が必要です。
ディフェンス技術が上達すればそれが安心感にも繋がるでしょう。
カウンターの練習方法
ボクシングにおけるカウンターがどんなものなのかわかっていただけたと思います。
では最後にカウンターの練習方法をご紹介しましょう。
1.シャドーボクシング
まずはシャドーボクシングです。
相手がパンチを打ってくるのをイメージしてカウンターを叩きこみます。
繰り返しおこなうことでカウンターの動きが身体に染みついてきます。
2.ミット打ち
ミット打ちでボクシングジムのトレーナーの人にも協力してもらいましょう。
相手の攻撃をかわしてのカウンター、相手が前に出てくるのに合わせてのカウンターなど様々なカウンターを練習できます。
どんなカウンターの練習をするのかトレーナーと申しあわせておくとよいでしょう。
3.実戦練習
最終的には実戦あるのみです。
慣れるまでは先にパンチを出す側とカウンターを打つ側に分かれてマスボクシングあるいはスパーリングの要領でおこないます。
先にパンチを出す側はフェイントもいれたりしながら、カウンター側もいつパンチが来るか分からない状況で常に集中してカウンターを狙います。
こういった練習を「条件マス」と言ったりもします。
文字通り条件を決めた上でのマスボクシングということですね。
パンチが来ると分かっているんだからカンタンそうに感じますが、実際にやってみるとそれでもなかなか難しいですよ。
慣れてきたら通常のマスボクシングやスパーリングでもカウンターを狙ってみましょう。
先ほどの条件マスと比べても難易度はグッと上がります。
こちらのカウンター狙いが相手にバレると対処されやすくなってしまいますしね。
最初は上手くいかず被弾してしまうことも多いと思いますが、頭で考えず身体が反射で動くようになればバッチリです。
いかがでしたでしょうか?
カウンターはボクシングのなかでも非常に難しい技術なので、練習したからといっていつでも誰相手にでも決められるというわけではありません。
ですが決まれば非常に気持ちいいし強力です。
あなたのボクシングのレベルが一段階変わりますよ。
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