ボクシングのパンチには様々な種類があります。
細かく分けるともっと種類は多くなるのですが、今回は大まかな5種類のパンチを紹介します。
①ジャブ
構えの前の手(オーソドックスなら左・サウスポーなら右)で打つ直線的なパンチのことをいいます。
試合の中で最も使用頻度が多いのがこのジャブです。
ジャブは基本的に利き手ではないほうの手で打つのでけして威力は高くありません。
ですが相手に近い方の手で小さいモーションで最速で最短距離で出すことができるため、最も相手に当たりやすいパンチでもあります。
当たりやすいというのは非常に重要で、パンチは空振りするのが一番疲れます。
基本的にボクサーはジャブを中心に試合を組み立てていきます。
ガードの上からでもいいのでジャブを打ちながらリズムをつくり、相手の反応やクセなどを観察します。
ジャブを多く打つと、打たれる側もなかなか攻め込みにくくなりますよね。
相手を攻め込むときにはもちろんジャブは有効ですが、逆に相手に攻められないようにジャブを出すのも有効な攻防一体のパンチ。
相手を倒すためというよりは距離をとったり牽制で使われることが多いですが、タイミングよく決まればダウンも奪えます。
ジャブを制す者は世界を制す、と言われるほどジャブはボクシングにおいて重要なパンチの種類となります。
先ほどジャブは最速のパンチと言いましたが常に最速で打つ必要はありません。
むしろそうしないほうがいいです。
いくらジャブが最速最短距離で相手に当たりやすいといっても、毎回同じスピードで打ってると相手もその速さに慣れてきます。
そのため速いジャブ、遅いジャブ、強いジャブ、弱いジャブを織り交ぜていくのです。
遅く弱いジャブに慣れてきたところでいきなり速く強いジャブをドン!と打つことで相手は面食らってパンチをもらってしまうのです。
②ストレート
構えの後ろの手(オーソドックスなら右・サウスポーなら左)で打つ直線的なパンチ。
ジャブよりもパンチ力が高くKOも狙えます。
利き手でのパンチではストレートが最も速く最短距離で打てます。
ジャブからストレートの連打をワンツーと言います。
ジャブとストレート、この2つがボクシングにおいて基本であり使う機会も多く重要なパンチの種類です。
ストレートはボクシング世界チャンピオン山中慎介選手の神の左が有名ですね。
ジャブと比べて威力のある強いパンチが打てますが、それゆえに強いパンチを打とうとしてタメが大きくなってしまう人も多いです。
右顎に置いている手をそのまま出せば最短距離で右ストレートを打てます。
タメが大きい人は一度後ろに振りかぶるように引いてしまう感じです。
その分強いパンチは打てるかもしれませんが、相手にバレバレでなかなか当てることはできないでしょう。
③フック
狐を描くような軌道で相手の側頭部へ放つパンチ。
パンチ力は高いですがジャブやストレートと比べるとスキができやすいのでコンビネーションに組み込まれることが多いです。
フックは前の手(オーソドックススタイルだと左)で打つことが多いですね。
「利き腕の右の方が強いフックが打てるんじゃないの?」というと確かにそうなんですが、オーソドックススタイルの右フックは左と比べるとモーションが大きくスキもでかいです。
そのため相手に当てやすい左を多用します。
近距離で相手を仕留めにかかるときなどは左フック右フックの連打のような形になりますね。
はじめの一歩で有名なデンプシーロールなどもウィービングしながらのフックの連打が基本になります。
フックの悪い例としては「腕の力だけで打ってしまうこと」が挙げられます。
力づくで振り回すようなフックだと、ただでさえスキのできやすいフックがさらにスキが大きくなってしまいます。
しかも肩の関節にも負荷がかかり痛めてしまいやすくなります。
正しいフックは「ヒジの角度は固定し脚と腰の回転」で打ちます。
④アッパー
下から上へ突き上げるように打つ、相手のアゴを狙うパンチです。
モロに入ると脳が揺れてダウンを奪いやすいのと、アゴが上がるのでそこからストレートなどに繋げると効果的です。
こちらもスキができやすいのでコンビネーションに組み込まれることが多いです。
または接近戦で相手の頭が下がっているときに打つのも効果的ですね。
ボクシングジムの練習でスパーリングなどをする際はヘッドギアを着用するのですが、アゴ部分は保護されていないのであまりアッパーはもらいたくないですね…笑。
⑤ボディ
相手のボディへ放つパンチ。身体の右側に「肝臓」があるため相手の右の脇腹を狙って放つことが多いです。
「レバーブロー」とも呼ばれます。
よく「ボクシングのボディブローはじわじわ効いてくる」と言いますが、他に意識がいっていたときにふいにボディへパンチを食らうとめっちゃ効きます。一撃です(笑)
「ボクシング パンチ 種類」などで調べると、ボディはパンチの種類には含まれていないことが多いですね。
ボディ(腹部)へのフックやアッパーといった言い方になるようです。
ボディフックは横から殴るように、ボディアッパーは正面から突き刺すようなイメージですね。
また、ボディへジャブやストレートを打ち込むこともあります。
ワンツーを打つとみせかけてジャブは顔面に、ストレートはボディへ打つと意表を突くことができます。
ボディへ効果的にパンチを当てることで相手のガードが下がって顔面へのパンチが当たりやすくなったり、逆に顔面へのパンチばかり出して相手の意識が顔面にいっているときにボディへパンチを放つと非常に効果的です。
ボクシングのパンチの種類をおおまかに分けるとこのような感じです。
さらに相手との距離やコンビネーションによって細かいパンチの打ち方も変わってきますので種類は無限です。
ボクシングは奥が深い!
余談ですが、ボクシングのノックアウトは顔面へのパンチで倒れることもあればボディへのパンチで倒れることもあります。
顔面へのパンチでダウンするときは脳が揺れてぶっ倒れるような感じなので仕方ないのですが、ボディへのパンチで倒れると「なに気持ちで負けとんねん!」「ボディは気合があれば耐えれるんや!」と怒られたりします。
ボディへパンチをもらっても平然としたリアクションをとるにこしたことはありません。
攻撃している側からしても、いくらボディを殴ってもダウンを奪えないと「俺のパンチ効いてないのかな?」と不安になってきます。
「コイツはボディじゃ倒れないな」と判断したら顔面へのパンチで倒しに行くことを考えるのも手です。
パンチの種類は細かく分けるともっと多い
上記の5つは大きく分けるとこの5つになるといった感じで、細かく種類を分けるともっと数は多くなります。
例えば同じジャブでも顔面を狙う、ボディを狙う、相手と距離をとる、カウンターで倒しにいくなどいろんな種類があります。
ジャブに対する相手の反応を見て作戦を練ったりもします。(ジャブを打つとボディのガードががら空きになるからジャブのフェイントを入れてボディを打とう、など)
他にも基本的にジャブやストレートは腕を伸ばしきりますが、ワンツーフックの場合は伸ばしきらないなど。(フックは間合いが近いため)
キックボクシングや総合格闘技ではキックや寝技など攻撃方法が多彩ですが、ボクシングはパンチのみに制限されるぶん種類は細かくなります。
ちなみにボクシングとキックボクシングでパンチの打ち方が違うこともあります。
特に分かりやすいのはボディブローでしょうか。
ボクシングでは体勢を低くかがめてからボディーへ打ち込んだりしますが、キックボクシングでそれをやると膝蹴りやミドルキックが飛んできます。
相手の攻撃に自分から当たりに行くようなものなので、まともに喰らうと大ダメージは必至です。
そのためキックボクシングでは上体は高い姿勢を保ったままボディブローを放つことが多いですね。
なんとなくテレビで観ているだけだとわからないですが、実はいろいろ考えながら戦ってるんですよね。
いやー、ボクシングは奥が深い!
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